倫理綱領の研修に参加しました

福祉

こんにちは、まさ福祉行政書士事務所の中村です。

先日社会福祉士の倫理綱領についての研修に参加しました。

20年以上ソーシャルワーカーとして仕事をしてきておりますが、
倫理綱領を特に意識して仕事をしてきたのは、この数年の話(若い時に
もっと意識していればよかったと振り返り・・・)。「四十の手習い」の氣持ちで臨みました。

社会福祉士の倫理綱領は、

原理
1,人間の尊厳
2,人権
3,社会正義(法の下の平等というイメージでしょうか)
4,集団的責任
5,多様性の尊重
6,全人的存在   

倫理基準
Ⅰ、クライエントに対する倫理責任
Ⅱ、組織・職場に対する倫理責任
Ⅲ、社会に対する倫理責任
Ⅳ、専門職としての倫理責任

行動規範
倫理綱領に基づいて実践するための行動を示しており、
各項目を総体的に具体化したものと、個別の行動として具体化したもの

で構成されています。

では、何故倫理綱領が存在するのかを以下にまとめております。

まず「倫理綱領の機能」についてまとめます。
1,クライエントを擁護する機能
→社会的排除、抑圧、周縁(追いやられる)などから擁護する、様々な権利の尊重を意識
2,ソーシャルワーク実践の質を担保する機能
→①社会開発やソーシャルワーク原則(人の価値と尊厳の尊重、多様性の尊重等)を意識
②常に質を高めるよう努めることが求められる
3,倫理的ジレンマにおける判断指針となる機能
→①相反する複数の倫理的根拠が存在し,どれも重要だと考えられる場合,
ソーシャルワーカーがど うすればよいか葛藤するときの指針となる。
例)クライエントの「あるがままの受容」と、「自己決定の尊重」など
②クライエントのみならず、組織、職場、社会に対する責任が求められる場面も
4,説明責任を遂行する機能
→クライエントのみならず、社会に対して説明責任を果たさなければならない
5,外部規則に対して防備する機能
→ソーシャルワーク原理の実現に向けて

 

つづいて「倫理綱領の必要性」についてまとめます。
1,クライエントの生活に影響を及ぼすため
→社会福祉士の判断がクライエントの生活に影響を及ぼすという認識
2,クライエントがパワーレスな状態であるため
→上下関係ができやすいという認識
3,倫理的ジレンマが必然であるため
→相反する複数の倫理的根拠が存在するという認識
4,社会福祉士も人間であるため
→支援者の気分、体調により、優先順位の変化があるという認識

そして「倫理綱領の位置づけから」まとめます。
1,関連する法制度などを認識したうえで、変革を含めての活用ができるよう意識

 

以上を踏まえ、ソーシャルワーク実践における倫理綱領の活用場面を考えると
1,社会福祉士の姿勢や行為を再確認するとき
→①クライエントや同職種、多職種と価値観が異なる時もある
②判断前後に活用
2,実践を振り返るとき
→実践の評価ができ、今後の支援の一貫性の担保と、参考となる。
また、メゾ、マクロの視点を養うこともできる
3,実践における判断に迷うとき
→倫理的ジレンマに直面するときなど

若い時は「何だか硬いこと書いてあるな」と感じ敬遠しておりました。

しかし、ソーシャルワーカーをすればするほど、ある課題が浮かび上がりました。

 

それは、「一貫性」「葛藤」というワードです。

まず「一貫性」

ソーシャルワーカーだけではないと思いますが、人は「○○したい」「○○でありたい」など、生きている中で、目的、希望、欲求を持っていると考えています。
その種類は人それぞれ違い多種多様です。

仕事をチームで行うなかで、支援者がそれぞれの考えで、クライエントに向き合うと、
混乱や衝突を招きます。職種においても考えが異なることも大いに考えられます。

職種間の考え方の違いもあれば、個々人の考え方の違いも多くあるので、まとめる根拠がないと、「あっちを立てれば、こっちが立たず」になってしまい、何より、クライエントの不利益
つながります

倫理綱領は、支援に一貫性を持たせるための助けとなります。

 

そして「葛藤」

葛藤は、「もつれ」「あらそい」という意味ですが、何か行う時は、「葛藤」はつきものです。

例えば、社会福祉士として「利用者の利益の最優先」を考えて支援することを意識しても、
所属している法人や上司が異なる指示をしてきた場合に起こる場合や、同職種や多職種同士の方針や考えの違いにより、起こる場合があります。

また、個別支援においても、クライエントの自己決定を優先すべきか、ご自身の利益を優先すべきか難しい状況に遭遇する時があります。

様々な葛藤がある時に、倫理綱領があることで、「一貫性」と同様、支援の方向性が定まってくる助けになると考えます。

倫理基準は、クライエント個人への責任や、所属する集団や大きな範囲である社会全体に対して、社会福祉士がどうあるべきかが書かれており、行動規範具体的な行動を考えることができます。

倫理綱領は、社会福祉士として「理想像」を持ち、それを遂行させながらも、他者の考えを理解し、「どこに最良の応援があるか」を導き出す、重要なツールであると考えています。

是非一度、倫理綱領について考えてみられてはいかがでしょうか。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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